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北名古屋市の回想法

北名古屋市の回想法

事業の目的

 自らの経験や、昔懐かしい道具を教材にその体験を語り合う(回想する)ことにより、介護予防、認知症防止に役立てようとする回想法は、欧米諸国より始まり、既にわが国でも臨床に応用されており、特別養護老人ホーム、老人保健施設などで試みられています。
 しかしながら、地域ケアにおいて回想法を活用している自治体は、ほとんどないのが実情です。市は、以前から昔の「日常生活用具」の収集に努めており、昭和の生活史の博物館として全国的に知られている歴史民俗資料館、旧加藤家住宅があり、常設展及び定期的な企画展を開催し、多くの集客をよんでいます。この回顧するにふさわしい環境資源を事業に利用し、閉じこもりがちな高齢者等を対象に回想法(グループ回想法による手法)を実践することで、新たな介護予防事業を起こし、地域ケアの実践の場として介護予防、地域づくりを図ることを目的としています。

回想法との関わり

 上述のとおり本市の歴史民俗資料館は、昭和史の日常生活用具の収集・保存・展示に努めており、全国から多くの視察者があり、「昭和日常博物館」と呼ばれています。その来館者は一同に懐かしさに浸り、思い出話が沸き起こって、回想法が自然に実践されている懐旧の場ともなっています。
 特に平成11年には「ナツカシイってどんな気持ち~ナツカシイをキーワードに心の中を探る」と題して企画展を行い、回想法と収蔵物の新たな関わりを提言したり、平成13年3月には総合福祉センターもえの丘で、「幼かった頃」と題し、懐かしい自動車や教科書等を展示した企画展を催すなど、来館者、デイサービス利用者の記憶を刺激しました。
 このように、本市の歴史民俗資料館には、昭和時代をテーマにした一貫したコンセプトがあり、回想法に活用できる資源が整っています。
 回想法を実践するに当たり、実践する環境(場)は対象者、進行側にとっても極めて重要な意味を持つと考えています。昔から使い慣れた物や雰囲気、居住空間等の連続性があれば、回想法実践において対象者の心理面に良い安定を与えるものと考えられます。
 また、北名古屋市には現在、国の登録有形文化財に登録されている旧加藤家住宅があり、明治時代から昭和前期の生活様式をよく残しています。そこで、この旧加藤家を活用することにより、回想法の場としての役割を充分担える有用な資源と考えています。

グループ回想法

グループ回想法とは

 北名古屋市では回想法を介護予防、認知症予防を図る地域ケアとして取り入れています。
 ここでは、北名古屋市が実施している回想法スクールをもとに、グループ回想法についてお話します。

  • グループは、参加者10名、リーダー1名、コリーダー2~3名で構成されます。
  • 頻度は、週1回1時間を、8回継続します。
  • メンバーが円形に座り、参加者には、テーマに沿って懐かしい話や思い出を話していただき、スタッフは傾聴するのが基本です。
  • 回想を促すために、様々な“モノ”を利用します。 
出版物や印刷物 本・新聞・ポスター・地図・暦・写真・アルバム
使われていた物 生活の様々な道具や小物・おもちゃ・行事に使われた道具
五感を刺激する物 草花・自然の実り・音楽・食べ物や飲み物・香り(化粧品・石鹸・香水)
映像 「テレビ回想法」のビデオ・テレビや映画の映像

 準備すること

  • 何を目的として回想法を実施するかを話しておく。
    (健康増進・レクリエーション・仲間づくり等)
  • 参加者には(場合によっては家族にも)事前に会の説明をし、同意を得ておく。
  • 参加者の状況を事前調査で把握し、配慮が必要な方等を確認しておく。
  • 招待状や参加簿などの準備をしておく。

グループ回想法の進め方

1.事前 インフォームドコンセント・動機付け(招待状・参加簿)
2.初回 オリエンテーション(回想法の説明と同意)・自己紹介
3.各回 【導入】…挨拶、会の説明、テーマの紹介
【進行】…テーマについて参加者に説明をし、参加者の回想を促します。
【展開】…参加者の傾聴し、参加者同士の相互交流を促します。
必要に応じて軌道修正します。
【まとめ】…感想を聞き、次回の案内をします。
4.最終回 これまでの振り返り(感想、思い出の色紙作成)
新しい活動への展開など

 リーダー、コ・リーダーの役割

リーダーの役割

  • 参加者全体と時間を見ながら、会を進行します。
  • 展開から取り残されていたり、発言の少ない参加者に、発言を促します。
  • グループ内で話題が分散してしまったら、それぞれの話をまとめたり、 グループ全体に呼びかけ、ひとつの話題を共有できるようにします。

コ・リーダーの役割

  • リーダーの補佐役として、参加者全体を見ながら、リーダーの動きにも気を配り、進行をサポートします。
  • 個々の参加者の小さな反応を拾って対応したり、 近くに座っている参加者の発言を集団全体やリーダーに伝えたりします。
  • 個々の参加者が、グループ全体の進行から外れてしまった場合には、間合いを見て、 自然にグループの進行にもどれるように対応します。
  • 聴覚、視覚あるいは歩行などに障害のある方へのサポートをします。

良い聞き手とは

  • 傾聴・アイコンタクト・うなずき・言葉の繰り返しなどが、自然にできる。
  • 自分が知っていることを話してしまうのではなく、聴き役になれる。
  • 参加者の発言を否定したり、非難したりしないでける。
  • 参加者の気持ちを尊重し、無理に話を聴き出さない。
  • 語り始めるのに時間を要するときや、沈黙の意味を考え、見守ることができる。
  • 「教えてください」という姿勢で耳を傾ける。
  • 聴いた話は話し手と聴き手の秘密とし、承諾なしに第三者に話さない。(守秘)
  • 聴き手に、時間やゆとりがある時に行うほうがよいでしょう。
  • 昔の思い出は時とともに薄れてゆくものです。話し手は、話す内容が曖昧になったり、 うまく伝えられないことがあります。聴き手は、曖昧なことを指摘して自覚させるよりも、 思い出をたどることが楽しいと感じてもらえるように接しましょう。

お問い合わせ

高齢福祉課
電話:0568-22-1111(代表)
ファクス:0568-26-4477
E-mail:korei@city.kitanagoya.lg.jp