念願のシン男(12月14日)
念願のシン男
明治以降、この辺りからシン男は選出されておらず、シン男をやってこそ真の男になれると思っていた。昭和52年の国府宮はだか祭のシン男選定式で一番くじを引き当てシン男の証である差定符(さしさだめふ)を授かった。その年は江南市から大鏡餅が奉納されるので餅つきに参加し、「おこもり」の日を待った。
「おこもり」をする前に、家で先祖にお参りをして、氏神様にお参りをして、酒とうどんと魚(鯛)をお供えして差定符を持って国府宮神社に三日三晩のお清めに入った。お清め中は、先輩シン男がすべてお世話してくれ、着替えから、ご飯の準備、もみ合いでケガをしない体勢なども教えてもらった。他にも「なおいぎれ」を裂いたり、神様にお供えする餅(力餅)をついたり、神様を呼び込む儀式や、「おかじゅ」という一般の人の厄を受ける儀式などで忙しく過ごすのだった。
いよいよ数千人のはだか男のもみ合いの中に飛び込むのだが、熱気あふれる男たちにビビッて怖いなんて言っていられない。俺は男だ!という思いで飛び込んだ!熱気で肌が擦れあい熱い。もみくちゃにされて苦しい。数回気が遠くなったが、禰宜が大きな榊に鈴をつけてシン男を呼び込み、儺追殿(なおいでん)に入ることができた。(直後の診察で足の裏に針が刺さっていた!)
昼間の激しい祭りの夜に「夜儺追(よなおい)神事(しんじ)」という昼に受けた厄を落とす儀式があり、ここですべてを捨てて家まで帰ることができる。無事にお役が果たせたことに安堵しつつ、翌日以降の儀式も終わることができた。
終わった後は、数日風呂にもまともに入れず(肌がすれてお湯が痛い)、その年は何かと身体の調子がおかしかったが、今でも祭りが近づくと身震いがしてくる。
あの体験が私にとって大きな精神を得た。人生の中でそれが力になっている。
大空の会 長谷川敬郎
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