常設展示
「昭和日常博物館」誕生
昭和日常博物館は、昭和時代の暮らしの移り変わりを伝えることをテーマに展示、収集活動を行っています。特に、戦後の復興から続く急速な経済成長を背景に日常生活、生活様式の大転換期を迎えた昭和30年代に注目し、資料の収集、研究、展示を行ってきました。この昭和30年代は、電気、ガス、水道というインフラの整備が進み、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの電化製品が広く一般家庭にも普及するなど、日常生活のレベルで20世紀において最も激しい変化が起こり、現在のわれわれの生活につながる基盤が整いはじめた時代であったといえます。これは、本市のみならず日本全国に当てはまる歴史的な激動といえますが、本館がこうした昭和の激動の変化を後世に伝える活動を開始した「屋根裏のみかん箱は宝箱」という企画展を開催した平成5年時点で、同種の活動を主に行っている博物館・資料館は意外と少ないのが現状でした。
本館では、こうした状況を省み、昭和時代をテーマとした展示会を展開し資料の収集・保存にあたり、平成9年には、「日常が博物館入りする時」と題した特別展でフロアー全体を昭和30年代の資料で構成し、同時に「昭和日常博物館」と呼ばれるようになりました。
昭和日常博物館の試み
暮らしの移り変わりをモノの変化から探り、読み解き、楽しむ
昭和時代の日々の生活に関わるモノを広範に収集し、日常ではゴミとなる運命であったはずの小片まで資料として収集した結果、16万点を超える昭和生活資料コレクションを形成するにいたっています。この膨大なコレクションをさまざまな視点で捉え、切り抜くことで、昭和の暮らしを探る独自の展示活動を継続してきました。
こうした活動は、現在も拡大し、充実し続ける昭和の生活資料コレクションに新たな資料価値を見出すための試みでもあります。昭和生活資料を、過去の暮らしをノスタルジックに思い返す媒体とするだけにとどめず、昭和という時代を俯瞰するための貴重な物的資料として位置付け、生活の変化、社会、経済、文化の特質を探っていくための新たな資料価値を創造することも意図しています。
地域回想法〜博福連携による地域高齢者ケアの実践〜
昭和日常博物館が構築してきた昭和生活資料コレクションは、人々の記憶を刺激し、懐かしい思い出を思い起こさせる力を持っています。こうしたコレクションの力を、博物館の内部だけではなく、広く地域社会の中で活用を進める方策として、高齢者ケアの分野で注目されていた「回想法」に日本の博物館界ではいち早く取り組んできました。博物館、福祉、医療が有機的に連携することで、回想法事業は地域に定着し、現在では介護予防事業の枠を超え、回想を軸に高齢者が地域社会と深く関わり、人と人をつなぐ活動へと発展しています。
昭和日常博物館の軌跡
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平成2年
(1990年)
- 「師勝町歴史民俗資料館」として開館
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平成5年
(1993年)
- 昭和時代の生活資料の収集に本格的に着手
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平成9年
(1997年)
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昭和生活資料の展示への特化
「昭和日常博物館」誕生
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平成14年
(2002年)
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「地域回想法」の始動
博物館に回想法を導入する
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平成18年
(2006年)
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師勝町・西春町の合併により
「北名古屋市歴史民俗資料館」となる
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令和2年
(2020年)
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開館30周年
第1回日本博物館協会賞受賞
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