寒い冬の支度

かぜ薬あんか 湯たんぽ クリスマスの包装紙

 

かぜ薬

 薬の名前やその由来を考えながら見てみると面白いものが多い。疾病やその症状、薬の素材、薬を飲んだらこのように改善されるといったところからネーミングされている。 写真は昭和30年代から40年代にかけての家庭用の配置薬のパッケージである。「セキトマル」はそのままの名前であるが、「ハツサン」は熱を発散、「セイフ―」は風邪を征する征風、「ラクチン」は楽ちんということのようだ。
腹痛の薬には「○○丸」という表現がよく見られる。他にもスッキリとか、子ども用の薬で「あいじ」などユニークな名前が付けられていた こうした配置薬は、定期的に薬売りによって持ち込まれる。富山や奈良が有名な薬の産地であり、そこから薬売りがやってきた。

あんか

控えめにホカホカ 朱色が郷愁を誘う

 冷え込みの厳しい時期。朝、目覚めて最初にすることはストーブに火をつけることだ。冬の寒さを乗り切るのに、暖房具はなくてはならない暮らしの道具である。  昭和30年前後から使用されていた電気アンカ。これを資料館に持ってきていただいた方は10年以上、使ってみえたそうで、布団の中に入れたり、勉強するときなど机の下に毛布と一緒にしのばせていたということだ。最近、販売されている電気アンカはプラスチック製が多いが、当時は木製が主流であった。中に熱源として電熱器が入っている。写真は、豆炭を入れるタイプのアンカで、四角のほか、丸形もよく使われた。どちらとも色は、暖かさをイメージしたのか、朱色。この色が見る人の郷愁と暖かさの記憶を呼び覚ますようだ。  電気アンカは、コンセントに差し込めば、じきに温かくなってくる。が、豆炭の場合は、七輪などに火をおこし、その火の中に数分投じた豆炭が、赤くなってきたら、容器に入れる作業が必要だった。  懐かしい暖房具はいろいろあるが、手元や足元を温めるものが主であった。  


 
 

湯たんぽ

今は『チン』するタイプ

 最近の暖房は、部屋全体を暖める方法が主流である。エアコンや石油ストーブなど、暖かさが部屋中に広がる。  サッシや壁に断熱材などを用いることで、古来の木造建築に比べて建物の密閉性・保温性が著しく高くなってきたことから、効率のよい暖房方法となった。  従来は、部屋全体を暖めるのではなく、手元、足元など局所を温めるものが主流だった。  火鉢で手を、あんかやこたつで足を温めた。夜、眠る際は、豆炭を入れたあんかや湯たんぽを足元に入れることで冬の寒さをしのいだ。湯たんぽは、その名の通り、熱したお湯を入れて暖をとるための道具である。  お湯を用いる利点は、ゆっくりと温度が下がっていくことである。主に就寝中に布団の中に入れて使うため、ずっと高温を維持する暖房器具より体にもよいと考えられている。  ブリキ製の湯たんぽは、直接ストーブなどに載せて熱することができ、便利だったと聞く。現代では、ポリエチレン製の湯たんぽが用いられている。最近、電子レンジで「チン」して使うニュータイプも登場している。様変わりが著しい。  

クリスマスの包装紙

破り捨てられるが懐かしい思い残す

 12月、街中を見渡すと、緑と赤の装飾が目立つ。きょうはクリスマスイブである。  クリスマスを祝う習慣は明治時代にすでに始まっている。現在のように街中が装飾され、多くの人がプレゼントを交換し、ケーキを食べるようになったのは戦後、おおむね昭和30年代以降のことだ。  今日親しまれているクリスマスの定着に大きな役割を果たした一つが百貨店である。クリスマスにプレゼントを贈ることもすっかり習慣に。  これは、昭和30年代から40年代にかけ、百貨店が使用していた包装紙。クリスマスの文字やサンタクロース、トナカイ、キャンドル、ベルなどがデザインされている。  包装紙はプレゼントをいただいた後は、ほとんどの場合、破り捨ててしまう。が、プレゼントを形作っているものであり、中身を楽しみにしながら包装を開いていくことから、記憶している方も多いようだ。