地域回想法
地域回想法の試み
「地域回想法」とは、高齢者ケア、認知症ケアの分野で注目される「回想法」という手法を用いて、博物館、地域資源、福祉・医療分野とが連携・協働し、高齢者の心身の健康維持と増進、地域社会のつながりの再生、地域社会づくりを進めていこうとする取組のことです。
回想法とは
回想法とは、高齢者の持つ記憶をさまざまな方法で引き出し、自分自身の体験や経験について回想を促し、語り合うことで、脳の働きを活性化させ、心理的・精神的安定の向上を図るための高齢者ケアに関わる心理療法の一手法です。
回想法は、1960年代にアメリカの精神科医ロバート・バトラー博士が提唱した手法で、アメリカ、カナダ、イギリスを始め各国に広まり、日本でも早くから研究に取り組まれ、現在、多くの研究事業が進められています。
北名古屋市の「地域回想法」事業
地域回想法は、2002年に北名古屋市で厚生労働省のモデル事業として全国で初めて試みられました。北名古屋市の先駆的取組は「北名古屋モデル」と称され、博物館、福祉行政、医療機関、NPO法人、ボランティアが連携、協働して回想法を軸とした地域介護予防、地域づくり事業として展開しています。
北名古屋市の地域回想法の中核を担う施設の一つが「昭和日常博物館」です。昭和時代の暮らしの移り変わりを記録、保存する活動に力を注いでおり、懐かしい道具や情景の展示が来館者の記憶を刺激し、回想を促す空間となっています。また、豊富に収蔵する生活資料を活用して館外で行われる回想法を支援するための「回想法キット」を製作し、もう一つの中核施設である「北名古屋市回想法センター」から全国の高齢者施設・医療機関などに向けてへ広く貸出しも行っています。
お出かけ回想法とは?
回想法が注目されるなか、歴史民俗資料館を訪れる高齢者(個人および家族)、高齢者施設(団体)の見学が急増しています。高齢者施設、デイサービスにおいて遠足やバスハイクなどの呼称で博物館や懐かしい設えのある施設を見学するといった、お出かけ行事が、回想法に基づいて行われるとしたら、「お出かけ回想法」というジャンルがあってもよいのではないでしょうか。施設に回想法を持ち込む、施設に道具を揃えていくのが従来の手法。もっと手軽に定期的に施設が計画している「お出かけ」を回想法の時間にしてみてはいかがでしょうか。
お出かけ回想法で団体ご利用の際は、事前にご連絡ください。駐車スペース・トイレ・車椅子の貸出しなど施設面のご案内、お出かけ回想法の利用案内などをお伝えいたします。
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