トークショー 進行:来島修志 コメンテーター:梅本充子、日笠真理

梅本 おいしい記憶と言うと、お母さんの味を思い出す。巻きずしを作ってくれた。おやつは、大豆に黒砂糖。食べたい。香りもこうばしい。
日笠香りというと、ふかしイモを思い出す。
来島 共感できます、東京に行ったとき懐かしい香りがした、何?と思ったら豆やさん。昔、量り売りの豆を買ってもらった記憶がよみがえった。
日笠嗅覚は味覚より記憶の奥に残る。
梅本 脳神経に一番早くとどくのは、嗅覚。腐ったものを匂いで判断します。動物も匂いが鋭敏。生き延びるために必要だから。
私は、食事は、兄弟で競って食べた、食事の味覚というより当時の情景が浮かぶ。
来島 一人ではなく、だれかと食べた食事。そこにおいしさがある。
日笠 誰かと会話しながら楽しく食事をすると味もおいしくなる。母にしかられて食べるとおいしくない。
料理の中で、しつけられた。茶碗ならべなど。
梅本 視覚だけではなく、触覚、嗅覚、聴覚を使って回想を促している。食事の話はどのテーマでも出てくる。給食と脱脂粉乳、ストーブに置いた弁当の匂い。当時の味を再現するため回想法事業で料理をすることもある。物はなかったけれど心が豊かだったと高齢者から教えてもらう。
来島 高齢者が昔と今の違いを語ってくれる。昔体験したことの知恵を伝授してくれる。
日笠 高齢者も語ることで役割意識をもつ。生の声がいい。インターネットでは伝わらない。食生活における日本文化は、世界観を感じる。季節に合わせて食器を変える、夏はガラス、冬はぽってりした深い器。誰に教わるわけではなく、親から自然に学ぶ。記憶から再現していく。食は最大のコミュニケーションツール。人から人へ伝えていく。
来島 回想法10周年。いきいき隊の活動が広がっている。仲間意識が高まり、昔の知恵を伝える活動を実践している。
日笠 祖母と散歩に出かけて、のどが乾いたら「すいば」という草の茎を吸うといいと教えてもらった。一緒に行動する中で伝授されることであり、聞けてよかった。
梅本 いきいき隊も300人を超えた。回想法で出会い、創造的に自由に活動。回想法で出会った人は、その後も活動が継続しやすい。人と人のつながりができて、信頼関係ができる。過去を共有、共感しあう。その方の人生そのものを語り、主役になり、受け入れてもらえる、個性が尊重される。そうして元気になった人たちが、何か活動しようと動き出す。地域の中でこうした力を育てていくと助け合いが自然にできる。回想法は、人、地域、ときをつなぐツール。高齢者が増えても、役割をもち、子どもたちにも知恵を伝えてほしい。
日笠 食は親も子も肩書きも関係ない。回想法も食が大きなウェイトを占めると思う。今日、ここに来て、みなさんのエネルギーを感じる。
来島 3人で回想を楽しんできましたが、みなさん、帰宅してから、また家族で思い出話をしてください。ありがとうございました。

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