特別講演 司会:町永俊雄氏 講演:遠藤英俊氏

司会:町永俊雄氏 講演:遠藤英俊氏
健康には体の健康以外にも記憶がみずみずしいということが含まれる。
五感=記憶に大きな関係がある。視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚+第6感。
記憶のメカニズムとして、記憶を保持するためには、五感を使って記憶にとどめる、見ただけでは記憶できない。おふくろの味、ふるさとの香り、五感そのものが記憶。五感を働かせると記憶がいきいきとする。
脳のスペシャリストの遠藤先生から、解剖生理学から見た脳を解説。海馬は記憶をためる倉庫。後部帯状回と海馬はつながっている。神経細胞が減少したり、ネットワークが途絶えたりすると脳への血流が減少する。脳血流量がアルツハイマーの診断にもなる。近遠赤外線分光高度計で脳血流を測定することができる。初恋の記憶は脳血流を促すことを検証した。毎日の同窓会がいい。記憶は近いところから失われ、昔の記憶は保たれる。会話が脳をいきいきとさせることがわかっている。

会話は脳をフル活動させる。
◆人の話を聞き内容を理解
◆うなずいたり表情で反応する  
◆自分の話の内容を考える
◆題材を選択
◆どう話すか組立て言葉探し
◆口調を決め身振り手振りを加え
◆話始める

会話は、血液がたくさん必要になり、脳が活性化する。
高齢になるとほとんど会話がなくなる。「おい、めし、風呂、寝る」で終わってしまう。
会話を増やすには、情報が必要である。自分から新聞等を見て話題を豊富にしよう。 認知症は、自分は関係ないということはない。認知症でも大丈夫なまちづくりが必要である。認知症の方は、全国で420万人いる。高齢者人口の11%。ありふれた病気。年をとると忘れっぽくなるが、認知症のもの忘れは生活障害がある。エピソードを忘れてしまう。身の回りの人が気づくことが大切。家族が気づいても本人が認めないため早期受診ができないことが問題になっている。3年後には、オレンジプランで初期集中支援を行う。家族へアドバイスできる専門家をチームにして家庭に派遣し、早期発見、早期治療につなげる支援である。MRIや脳血流を測定し、病気を早く見つける。記憶障害が出る前に髄液検査をする方法もある。ベータアミロイドを調べ発病の15年前に診断ができる。検診のように受ければ、抑制するためのよい薬ができていて発病をおさえる時代が来ると思う。
記憶を保つには、回想法が有効。10年前に回想法センターという拠点を作り回想法スクールを始めた。回想法は、懐かしい五感が刺激される。
その人らしさの発見、思い出すことの快感、楽しんでもらう、歴史、文化を学ぶ、健康づくり、自己発見、家族関係の再構築、絆づくりなど多くの効果がある。
北名古屋市では、回想法スクールを10年続けている。多くの卒業生が教室終了後いきいき隊としてボランティアで活動している。いきいき隊は、社会に関わり、楽しい居場所ともなっている。豊かな経験が社会に還元され、まちも元気になっている。
(VTR視聴)
施設の職員は、当初認知症の女性入居者の症状しか見てなかった。対応に困った中で回想法を取り入れた。かつては農家で働き者であった女性に、農器具を見せて意図的に脳の引き出しをあけた。回想法により女性の不安定な気持ちが落ち着いた。
回想法は、とき・人・地域をつなぎ、まちを元気にする、介護予防そのものである。
データからも回想法を継続することで認知機能が保たれたことが立証されている。
家族でも思い出を語り合ってほしい。
◆記憶を保つためには、運動(週3回30分以上早歩き)
◆知的活動(頭を使う、好奇心をもって情報を得る。)
◆コミュニケーション(人と人とのかかわり)が大切である。

超高齢社会、高齢者を若者3人で支えているが、やがて1人で1人を支える時代になる。
高齢者がいきいきと社会に役立ことは、若い人もいきいきとなる。
今回は、10年の区切りのフェスタである。
地域社会づくりに、この回想法事業を活かしてほしい。


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